ペンは剣よりも強し。

頭に浮かんだことを気ままに書いていきます。

サマヤ物語

勇者サマヤ物語 0032

最近、運命の名を冠するゲームにうつつを抜かしていたので、更新が途絶えていた。実に一ヶ月と二週間ぶりか。まあ、そういう時もある。俺は悪くない。お前達は気長に待っていればいい。

勇者サマヤ物語 0031

音よりも光の方が高速なのは普遍の事実だが、魔力との速度関係となると、お前達のような凡人の知見が及ぶ領域ではないだろう。先述したように、魔力にも流れが存在し、それは術者の特徴を表していることが多い。優れた魔法使いであれば、術者から放たれた魔…

勇者サマヤ物語 0030

皆さん、お久しぶり。運命の戦士だよ。ちょっと運命に弄ばれていたせいで、しばらく筆を取れなかった。許してくれ。本当はお前達に許しを乞う必要などないのだが、今日は謝りたい気分なのだ。

勇者サマヤ物語 0029

どうも話の展開スピードが落ちてきた気がする。登場人物が増えてきたので仕方がないことではあるのだが、スピードが落ちると文章のキレも落ちているように感じられて好ましくない。どうしたものか。まあいいか。 よし! 気にせず書こう。 「はいよ、ノーマル…

勇者サマヤ物語 0028

「ここです」 これは小さなラーメン屋だ。 「ここ……なのか?」 キュウが場所を間違っている可能性もあるので、一応、確認しておく。 「はい。ここです」 ここらしい。店先の看板には『ラーメン処!!アソコ亭!!』と黄色の文字で書かれていた。文字から凄ま…

勇者サマヤ物語 0027

というわけで、俺達四人はブルグラ王国に来ていた。俺が初めてこの国を訪れたのは十年近く前のことだが、活気に満ちた国民達の様子は相変わらずだった。そうだ、後で代わりのテントを買っておかなければ。ナミハに行かせるとしよう。 「シノアリの町に似て、…

勇者サマヤ物語 0026

この若さで俺とまともに戦えそうな力を持っているとは……末恐ろしい少女だ。俺はキュウを見た。キュウはボーッとしている。こうして見ると隙だらけで、歳相応の少女なのだが……。たぶん、というか間違いなく、ナミハの喋り方を変えたのはキュウの魔法だろう。…

勇者サマヤ物語 0025

そうだ、混同してる人がいるかも知れないから言っておくけど、これまでの話に出てきた『魔法』と『呪文』とは同じ存在だからね。二通りの表現があるってだけ。これに関しては俺の描写に問題があったので、素直に謝罪です……とか言うと思ったか? 解説してやっ…

勇者サマヤ物語 0024

会話、スタートだ。 「おはようございます」と、俺。 「あ、おはようございます」と、アシガム。 素敵なコミュニケーションは、快活な挨拶から始まるのだ。ファースト・コンタクトの感触は良好。これなら、おはようのオーディションにも合格できるはず。

勇者サマヤ物語 0023

起きた。 何だか暑いと思ったら、テントが燃えている。これは危ないよね。とりあえず俺はテントを出て、周囲の状況を把握するために、その場でグルグルと回ってみた。あ、ナミハのテントもバッチリ燃えてる(笑)

勇者サマヤ物語 0022

前のページで、いきなり聖書の話をした理由はと言うと、シノアリの町を出る時、ナミハが文庫化された聖書を持って来ていたからだ。呪文によって縮小化されたコピー本なので、簡単に持ち歩けるらしい。ただし、ナミハ以外に本の所有権が移ると、本は消えると…

勇者サマヤ物語 0021

どうも。運命の戦士です。 突然だが、今日は面白くない話をしようと思う。 本当は、ユーモアにも富んだ運命の戦士たるこの俺が、面白くない話などするべきではないのだが、何となくそういう気分だったので、これはもう仕方がない。読者にとっては退屈なもの…

勇者サマヤ物語 0020

ここ数日で、たくさんの文章を書いたので、ちょっとした腱鞘炎になったような気がする。いや、そこまで大袈裟なものではないか。たまにピキッと痛むだけだ。運命の戦士である俺は、つまりは小説家ではないので、筆を取って字を書くことには不慣れである。俺…

勇者サマヤ物語 0019

宿屋を出て、ナミハと合流した。やはり体調は悪そうだが、準備はきちんと済ませていたようだ。ところで、昨夜の出来事は覚えているのだろうか。いつか突っ込んでみてやろうと思う。 「スキルメソッズの連中とは、もう話したか?」

勇者サマヤ物語 0018

後で聞いた話だが、宴会でテンションを上げすぎたナミハは、酒を飲みに飲んで酔っ払い、「おちんちん食べたいの〜」と叫びながら町内を走り回っていたらしい。う〜ん……やっぱり連れて行くのはやめとこうかな? ちょっと悩む。

勇者サマヤ物語 0017

ミナカタの言葉通り、夜には派手な宴会が開催された。それより少し前に、シノアリ流のオモテナシとやらも受けた。内容は具体的には書けないが、なかなかにグッドな経験ができたということだけは言える。つまり、ミナカタが勧めてくれた高級娼館をタダで利用…

勇者サマヤ物語 0016

町に戻った俺達は、その足でミナカタに討伐完了の旨を伝えに行った。俺は宿屋に戻って寝たかったのだが、スカミットがキャンキャンうるさかったので、仕方なく。 「――というわけで、お二人は邪竜討伐を見事に! 成し遂げたんです!」 今もキャンキャンうるさ…

勇者サマヤ物語 0015

片方の翼を両断された竜は、あっさりと戦意を喪失し、ウンコブレードによって絶命させられることとなった。ネーミングが幼稚だと感じた人もいるだろうが、俺はこういう人間なので、気にしないで欲しい。もう一度言うが、俺はこういう人間だ。これまでも、こ…

勇者サマヤ物語 0014

奥に進むと広い空間に出た。そこでは、赤黒い鱗を持つ竜と一人の男が、激しい戦闘を繰り広げていた。竜の方には目立った外傷はないし、特に疲労しているわけでもなさそうだ。対して男の方は、大きな傷はないものの、汗だくで疲労困憊といった様子。どうやら…

勇者サマヤ物語 0013

後でスカミットに訊ねてみたところ、例の赤い果実は『イノカリ』という名前らしい。噛むと果汁が口内に広がり、独特の味と香りを感じさせてくれる。腹が減って仕方がない時に食べると、多少は美味いと思えるかも知れない。そんな味だ。 そんな話はどうでもよ…

勇者サマヤ物語 0012

腹が減ったので、町を出る前に食事処に向かうことにした。 「えっ、サマヤさん? どこに行くんですか?」 うるさい、黙ってろ。とは言わず、丁寧に解説してやる。この優しさを全国の諸君にも見習って欲しい。おお運命の戦士であるサマヤよ! 汝は……いや、ち…

勇者サマヤ物語 0011

ミナカタ邸に着いた。きらびやかな装飾を施された住居が、高めの塀に囲まれている。金に物を言わせたような見た目だが、これはミナカタ本人の趣味なのだろうか。だとしたら、少しだけ幻滅だ。 塀には表札が付いていた。大きな文字で『ミナカタ』と、そしてそ…

勇者サマヤ物語 0010

ふとした思い付きで書き始めた手記も、ついに十ページ目を迎えた。ちょっと嬉しい。最初は五ページ目くらいでやめようと思っていたのだが……。この手記の一部を公開した後、登場人物達の反応を窺うのが、俺のちょっとした娯楽になっている。

勇者サマヤ物語 0009

道中、謎の集団と遭遇した。 十人くらいの男達だ。それぞれが短剣を携えており、動きやすそうな服で身を包んでいる。何人かは短剣を懐に隠しているようだが、運命の戦士たる俺にはバレバレだ。 大貴族の私兵団か、私設の盗賊団か……そのどちらかに見える。い…

勇者サマヤ物語 0008

夢の中で寝込んでいる俺を見ていると、現在の俺が目を覚ました。つまり、おはようございます、ということだ。バアちゃんに買ってもらった腕時計を持ってくるのを忘れたので、正確な時刻は分からないが、腹の空き具合から察するに、たぶん今は朝の五時くらい…

勇者サマヤ物語 0007

夢なう。 何かよく分からないけど、宙に浮いてるなう。自分の意思では動けない。 「一体どうして……何故なんだ!?」 俺の声だ。イケボだなぁ。 「答えろよ、ジャギス!!」 どうやら俺はジャギスと話しているらしいよ。

勇者サマヤ物語 0006

もう六ページ目か。早いものだ。俺はここまで飽きずに書き続けられた自分の根気強さに感心しつつ、せっせと走る馬の背に手を置いた。綺麗な毛並みだ。きっと主人は、この馬の世話に気を遣っていたに違いない。 「せっかくだし、名前を付けてやろう」

勇者サマヤ物語 0005

「!?!? ……!? …………??」 俺が即興で唱えた何の意味もない呪文に、男達は慌てふためいている。ハッハー↑↑↑まったく、笑わせてくれるぜ。お子様は家に帰ってママのフルグラ(意味深)でも食ってな。 「テメェ、今のは何の呪文だ!? 何しやがった!?」 何…

勇者サマヤ物語 0004

と、そこで俺は気になる人物を発見した。俺は音もなく席を立ち、おもむろにその人物へと近付いていく。 「……お」 声を掛けようとして、その人物が異臭を放っていることに気付く。運命の戦士たる者、嗅覚も鋭敏なのだ。このような人物と関わりを持つわけには…

勇者サマヤ物語 0003

「ところでマーちゃんよ、今日は何を食う!?」 「……フルーツ・グラノーラを一皿」 「あいよ! 相変わらず声が高いなぁ!」