勇者サマヤ物語 0005
「!?!? ……!? …………??」
俺が即興で唱えた何の意味もない呪文に、男達は慌てふためいている。ハッハー↑↑↑まったく、笑わせてくれるぜ。お子様は家に帰ってママのフルグラ(意味深)でも食ってな。
「テメェ、今のは何の呪文だ!? 何しやがった!?」
何もしてないよ。
「フッ……」
とりあえず、意味ありげに笑っておいた。今日の俺もクールだぜ……。すると、男達はみるみる内に顔を赤くし、何やら怒鳴り声を出し始めた。見た目がタコそっくりだ。やーい、タコタコターコ。このタコ軍団め。お前ら如きに呪文なんて使うわけないだろ。くたばれ。
「ちっ、ちくしょう……こうなりゃどうなっても構わねえ! 野郎共!! やっちまえ!」
何か勝手に悲観的な妄想してるみたいだけど、俺は何もしてないよ。
「うおおおおおお!!!」
タコ軍団の反応を見るのにも飽きたので、とりあえず全員ボコボコにしておいた。特に、棒状の凶器を持っていた奴は、念入りにボコった。どのくらい念入りかと言うと、ここには書けないくらい酷いことをした。つまり、ケツの穴に凶器を捩じ込んだのだ。そいつは泣いていた。俺はスッキリした。これはいわゆるWin-Winってやつだろう。
いい準備運動になった。俺はタコ軍団に感謝しつつ、往来する馬車の一台に目を付けた。あれをもらおう。
「えっ!? ちょ、ちょちょ待って!? ええっ!?!?」
首尾よく馬車の強奪に成功した俺は、馬に一撃、強烈なムチを入れ、高速で門へと向かった。
つづく。