ペンは剣よりも強し。

主にOverwatchの記事を書きます。

勇者サマヤ物語 0008

 夢の中で寝込んでいる俺を見ていると、現在の俺が目を覚ました。つまり、おはようございます、ということだ。バアちゃんに買ってもらった腕時計を持ってくるのを忘れたので、正確な時刻は分からないが、腹の空き具合から察するに、たぶん今は朝の五時くらいだろう。

「夕方には着くかな……」

 軽い朝食を済ませて地図を眺めていると、スターゲイザーが近付いてきた。スターゲイザー……長いから、略してゲイと呼ぼう。うん。呼びやすいし、我ながら悪くない愛称だ。ゲイは熱心に地図を見ている。もしかして、地図を覚えようとしているのか?

「この辺りが現在地。ここが目的地。どうだ、ゲイ?」

 地図上のとある地点を指差し、簡単に説明してみせる。

「ブシュルッ……」

 ゲイは小刻みに頷いた。どうやら、俺の言いたいことは理解したらしい。コイツ……バカなところもあるが、ちょっと賢すぎないか? 少し恐ろしく思えてくる。

 俺は数秒だけ思案した。

 まあ、何か不都合があれば、殴り倒せばいいだろう……。

「よし! 行こう、ゲイ」

 ゲイが目的地への方角も把握してくれたようなので、到着まで俺は何もしなくてよさそうだ。その辺の行商人らしき人物からテキトーにパクった馬だが、俺の目に狂いはなかった。さすがは運命の戦士、といったところか。とすると、さしずめゲイは運命の名馬かな。文章にして見ると、なかなか凄まじいものだ。

 騎乗したまま眠れる程に器用な男ではないので、周囲の景色が流れていくのを楽しみつつ、俺は次の町への思いを馳せた。昼飯は何にしようかとか、娼館があれば行きたいなとか、そういうことだ。このペースなら、午後に入るまでに着くかも知れない。馬って素晴らしいな。

 

 つづく。