ペンは剣よりも強し。

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勇者サマヤ物語 0011

 ミナカタ邸に着いた。きらびやかな装飾を施された住居が、高めの塀に囲まれている。金に物を言わせたような見た目だが、これはミナカタ本人の趣味なのだろうか。だとしたら、少しだけ幻滅だ。

 塀には表札が付いていた。大きな文字で『ミナカタ』と、そしてその下にとても小さな文字で『スカミット』と書かれていた。家族の名前だろうか?

 住宅への門の近くをウロウロしていると、使用人らしき男に声を掛けられた。

「おや、お客様ですか。どのようなご用件で?」

 俺が無言で貼り紙を差し出すと、使用人はしたり顔で頷いた。

「なるほど、その件ですか。分かりました。詳しい話は中でしましょう。ささ、どうぞ中へ」

 使用人がそう言うと、門が勝手に開いた。何か魔法を使ったのだろう。俺、運命の戦士は、他人が使う魔法のことなど全てお見通しなのだ。いやごめん、全てというのは言いすぎだったかも知れない。そこはちょっと自信がない。八割くらいはお見通しだ。

「よお、よく来たな! 俺がミナカタ・ピーキューだ。よろしくな」

「サマヤ・シコモザといいます。よろしく」

 俺が名乗ると、ミナカタは目を丸くした。

「サマヤ!? その名前、アララキから聞いたことがあるぜ。魔王討伐のための旅を始めたんだろ?」

 今度は俺が目を丸くする番だった。

 ミナカタが言うには、彼はアララキとは長い付き合いで、魔王討伐の件についても早めに報せを受けていたらしい。過去にアララキと共に働いていたことなどについても聞かされたが、この辺はどうでもいい話だったので、あんまり内容は覚えていない。

「なるほど、洞窟の邪竜について聞きに来たんだな。ぜひお前さんに討伐を任せたいとこなんだが、もう別口で依頼しちまっててな」

 さらに詳しく訊ねてみたところ、『スキルメソッズ』という盗賊団があり、彼らが先に邪竜討伐の役を買って出たらしい。もしかして、この町に来る途中で出会った集団、あれがそうだったに違いない。盗賊団と名乗るだけあって、力自慢のならず者の集まりのように見えたのだが、そのような依頼を受けるとは。

「そうだ、お前さんにも行ってもらえると助かるな。ただし、見張り役として、だ」

 依頼はしたものの、ミナカタはスキルメソッズのことを信用し切れないようだ。まあ、盗賊団と名乗っている集団だし、その気持ちも理解できる。最近の調査によると、邪竜は周辺の魔物を喰うことで腹を満たしているようだが、やがて人間に牙を剥き始める恐れもある。

「足手まといになるかも知れんが、俺の舎弟も行かせよう。おーい、スカミット!!」

 ミナカタが大声で言うと、部屋の扉が開き、そして細身の青年が現れた。コイツがスカミットか。正直言って弱そうだが、ミナカタが言うのだから、断らずにおいてやろう。感謝しろ、スカミットとやらめ。

「自分がスカミットです。本名はクヤタ・カナザワといいます。足を引っ張らないように頑張りますので、よろしくお願いします、サマヤさん!」

 スカミットが元気に挨拶してきたので、軽く会釈だけしておいた。スカミットって本名じゃないのかよ(笑)

 ということで、スカミットを連れて件の洞窟へ向かうことになった。

 

 つづく。