勇者サマヤ物語 0016
町に戻った俺達は、その足でミナカタに討伐完了の旨を伝えに行った。俺は宿屋に戻って寝たかったのだが、スカミットがキャンキャンうるさかったので、仕方なく。
「――というわけで、お二人は邪竜討伐を見事に! 成し遂げたんです!」
今もキャンキャンうるさい。お前は何もしてなかった(というか何もさせなかったのだが)くせに、一丁前に語りやがって。
「いやー、よくやってくれたよ、本当に! お前さん達は最高だ! ありがとう!」
ミナカタは嬉しそうに俺達の身体をバンバンと叩いた。特に俺なんかは、弱点である頭頂部を叩かれたので、割と痛かった。身長が縮んでしまったら、どうしてくれるつもりなのだろうか。慰謝料を請求するだけでは済まさないぞ。
「じゃあ、今夜は町全体を巻き込んで宴でもやろうか! もちろん俺の奢りだぜ」
「マジで!? ミナカタさん太っ腹〜! おれ、たくさん食べちゃうぞ! 飲んじゃうぞ!」
「おう、好きなだけ楽しめや!」
素晴らしい。ミナカタ様々だ。表情には出さないが、俺のテンションも上がりまくっていた。そうだ、ついでにお小遣いもくれないかな? とりあえず三百万ゴールドくらい。そしたら、この先も衣食住には困らないだろうし。
「旅の途中だろうが、一日くらい構わないだろ? なあ、サマヤ?」
「フッ、そうですね。一日くらいなら。では、牛乳とオレンジジュースの用意をお願いします」
決まった……。今日の俺もイケメンすぎる。
つづく。