ペンは剣よりも強し。

頭に浮かんだことを気ままに書いていきます。

勇者サマヤ物語 0027

 というわけで、俺達四人はブルグラ王国に来ていた。俺が初めてこの国を訪れたのは十年近く前のことだが、活気に満ちた国民達の様子は相変わらずだった。そうだ、後で代わりのテントを買っておかなければ。ナミハに行かせるとしよう。

「シノアリの町に似て、いい雰囲気の国だなー! いつかスキルメソッズのみんなも連れて来たいよ」

 と、ナミハ。道中で魔法を解いてやったので、喋り方は元に戻っている。俺がナミハに施された魔法を解除した際、キュウが少し驚いたような表情を見せたのが面白かった。運命の戦士を侮るなよ。魔法の解除など朝飯前だ。俺は十歳の少女相手でも油断はしないし、実力の誇示も忘れない。

「何それ? 何かのチームの名前?」

「あっ……ああ、そうなんだよ! ハハハ」

 アシガムが不思議そうな目でナミハを見ている。コイツはキュウとは違って勘が鋭いタイプの人間ではなさそうだが、いつかはバレるぞ、ナミハ。無駄な抵抗はするな。

「着きました」

 ブルグラ王城だ。ストンモ王城の倍近い大きさだが、このくらいならインコブレードで真っ二つにできる。

「じゃ、ジェゴルンさんに報告しに行ってくるよ。できれば君達にも来て欲しいな」

「ナミハ。俺は少しやりたいことがあるから、王への報告にはお前だけ付き合ってやってくれ」

 本当は、ジェゴルンに会いたくないだけだ。

「分かったよ。アシガム、それで大丈夫か?」

「うん。よし、行こう!」

 というわけで、ナミハとアシガムは城内へと消えた。キュウは立ったまま寝ているようだ。これは放置でいいのかな?

「あの」

 俺がどうすべきか悩んでいると、目を覚ましたキュウが声を掛けてきた。

「昼食、一緒にどうですか」

 デートの誘いか。五年は早いぞ。まあ断る理由もないし、いくつか訊ねたいこともあったので、乗ってやることにした。

「いいよ。行きたい場所があるのか?」

「はい。知り合いの男の人に教えてもらった、オススメのレストランがあります」

 何だって? マセた子供だ……。

 

 つづく。