勇者サマヤ物語 0029
どうも話の展開スピードが落ちてきた気がする。登場人物が増えてきたので仕方がないことではあるのだが、スピードが落ちると文章のキレも落ちているように感じられて好ましくない。どうしたものか。まあいいか。
よし! 気にせず書こう。
「はいよ、ノーマル三丁!」
注文したラーメンが運ばれてきた。なるほど、見た感じだと普通の量だ。香りも悪くないし、食欲が唆られてきた。
……そして、数分後。
「ごちそうさまでした」
味のレビューは面倒なので書かないが、かなり美味かったことだけは伝えておく。さて、この量を二人分も頼んだので、さすがに十歳の小さな身体では食べ切れまい。そう思った俺は、キュウの様子を窺った。彼女はすでに二人分のノーマルラーメンを完食し(スープまで飲み干している……)、虚空を眺めていた。
「キュウ? どうした?」
呆然とした様子のキュウがちょっと心配になったので、小さく声を掛ける。
「三杯目を頼もうか悩んでいます」
「えっ」
「まだ食べ足りないなぁ……あ、サマヤさんはどうしますか? もう一杯、頼んでおきましょうか?」
「…………、」
言葉が出なかった。
やはり、末恐ろしい少女だ。
つづく。